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“A Little Life” by Hanya Yanagihara

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⭐️⭐️⭐️⭐️(4Star)

今日はようやく読み終わった”A Little Life”by Hanya Yanagiharaの紹介です。この本は2015年に出版され、いくつかの賞に推薦されていたり、とても人気で、いつか読みたいと思っていた一冊ですが、700ページ以上の長編なので厚さに圧倒されて、なかなか読み始められなかったのですが、2020年中にはからなず読みたいと思っていたので一つ目標達成できて嬉しいです。

この本はたしか3月の初めに読み始めたのですが、その後すぐにコロナ騒動でなぜか読書に集中できず、ずっと読めずに止まっていたのですが、ここ3週間ぐらいでコロナも落ち着き始めて本が読めるようになってきたのでそこからは割と早いペースで読み進める事ができました。

星は4つです。この話は読んでいて本当に辛いのです。Trigger Warning(閲覧注意?)が満載で、読んでいて苦しくなるような場面がたくさん出てきますので軽い気持ちで読まないほうがいいかもしれません。読み進むのは辛いのですが、先が気になるし、読み進むうちに登場人物を応援したい気持ちも重なってどんどん読み進めていく事ができました。

あらすじは大学時代に出会った4人の友達が、大学を卒業して自分たちそれぞれの夢を追いかけて始めたニューヨークでの生活、そしてその先30年あまりの人生、葛藤、友情が書かれています。でも話の主人公はJudeという男性で主に彼の辛い過去とそれに取り憑かれて自由になれない現在とそれを取り巻く友達の葛藤の話と言ったほうが正しいかもしれません。

Judeは自分の周りの人たちに心から気を許す事ができず、自分の過去を誰にも話す事ができません。自分が心から信用している友達Whilemにもどうしても自分の事を話す事ができず常に心に葛藤があります。周りの人たちもなんとかしてJudeを助けたいのですが、そのすべがなくどうしていいのかわかりません。Judeの様につらい過去がある人は恐怖心からどうしても他人に心を開く事ができないだろうという事が読んでいてわかる(それは感情だけの問題でなく、身体的にも身体が勝手に反射して心を開く事を妨げているということもあるのだなという事にも気づきました。)のですが、読者としてはなんとかJudeに心を開いて欲しいと彼を応援してしまうのです。そして彼を心の底から助けたいと思っている周りの人たちの葛藤も痛いくらい伝わってきます。過去にトラウマを持った人やメンタルヘルスの問題を抱えている人たちの心の中を垣間見た様な気持ちになり、Judeのケースは極端なケースだけれども多かれ少なかれ心の傷がどの様に私たちの未来の行動や考え方に反映されるかという理解が少し深まった様に思います。Judeの葛藤を読むとメンタルヘルス問題を抱えている人々にとって毎日は自分との戦いであり、これはとても複雑な問題で簡単な解決策というのはないのだという事がわかります。

読む前からこの本を読んで泣いている人をたくさん見たり、聞いたりしていたのでこれはかなり泣くだろうなと思って挑んだのですが、思ったよりは泣いた回数と程度が低くてある意味驚きました。(A Monster’s Callを読んだ時の嗚咽ぐらいを想像していたので)読むのが辛いシーンや登場人物の気持ちが痛いくらいにわかる場面などたくさんあり、もちろん泣いたのですが、これはもしかしたらJudeの経験や周りの人の葛藤も自分の経験とかなりかけ離れたものなのでそこまで感情移入をせずに済んだのかもしれません。もしもっと深く感情を移入してしまっていたら大変なことになっていただろうと思います。泣ける本というとお涙頂戴ものかなと思われがちですが、これは私にとってはわざと泣かせようとして書かれた様には思えませんでした。(わざと読者を感情的にするために過去のトラウマの詳細を書いたりしたのではないかという意見もありますが。)心が締め付けられる様な場面がたくさん出てきますが、それは私には作者がわざと読者を泣かせるために書いた様には思えなかったからです。そこがまたいいところだと思います。過去の様々なトラウマはちょっとあまりにもひどすぎだと思いますが、これはただ読者を驚かせて感情的にするために書いたというよりも、Judeの現在の苦しみや複雑な心境を説明するのに必要な過去として書かれた様に思いました。

個人的にはいい本だと思うのですが、みんなに勧めるかというとちょっと躊躇する本かもしれません。ヘビーな内容の本が好みの人にはお勧めします。虐待のシーンも多く、やるせない気持ちになり、先を読むのが怖くなったり、怒りの感情もでるし、本当にこの本を読む時は心して読んだ方がいいと思います。心が傷つけられる事を承知の上で読まないとダメージが大きすぎるかもしれません。700ページ以上でかなりのボリュームですが、それぞれの人間関係やキャラクターの育成にはこの長さがないとここまで共感できなかったと思いますのでこの長さは必須だと思いました。それぞれのキャラクターの葛藤がとてもうまく書かれていて、それぞれの気持ちが理解できるだけにもどかしく、時ににイライラし、時に胸が痛くなり、時に感じた深い愛から心が温まる様な本でした。

”A Little Life”は作者の2作目の作品だそうで、今後にも期待したいと思います。

しかしこのアメリカ版の男性が一人アップで写っているカバーどう思いますか?私が持っているバージョンは多分イギリス版でこの表紙ではないのですが(イギリス版は白い表紙にA Little Lifeという文字が大きく書いてあり、その文字の中がNYのアパートの非常階段入りの外観となっている)、私はこのアメリカ版のカバーが大好きなんです。この男性のなんとも言えない表情がこの本の内容にすごく合っています。このひとつの表情に色々な感情が込められる様に見えて、カバーだけで胸が痛くなります。もし見たことない方はぜひアメリカ版カバーも探してみてくださいね。このカバー作った人天才。

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日本語版はまだ出ていないみたいですが、もし日本語翻訳本がでたらどちらの表紙になるのか興味津々です。

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