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“Project Hail Mary” by Andy Weir

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⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(5つ星)

今回はSFファンにもそうでない人にも人気の作品『Project Hail Mary』by Andy Weirです。こちらの作品は2021年に出版され、ブックチューバーの間でもかなり話題になっていました。私は個人的にSFが得意ではないので最初はあまり読みたいとは思っていなかったのですが、いろんな人の感想を聞くたびにSF好きじゃなくてもいける!ということを耳にし、機会があったら読んでみてもいいなーと思っていました。

家族にSF系が好きな人がいるので誕生日のプレゼントに買ったところとても気に入ってくれて、家族の一員もう一人も読み、絶賛していたので私も読んでみることにしました。

あらすじはRyland Graceという主人公が長い眠りから目を覚ますところから始まります。ネタバレしたくないので詳しくは書きませんが、実は彼は地球を救うために宇宙にいるのですが、自分でもなぜ自分がそこにいるのか何をすればいいのかまた自分が誰なのかということも覚えておらず、記憶の糸を辿りながら少しづつ状況を把握していくという設定です。自分の置かれた状況と過去を少しづつ思い出していく間にも次から次へと問題が起こり、それを解決していかなければなりません。

結果からいうとすごく楽しめました。久々の5つ星です。主人公も読者である私たちも最初は状況が全くわからず、主人公と一緒に少しづつ状況を把握していくのですが、その過程が主人公と一緒に体験している感があり、共感させるのに上手な手法だなと感じました。厳しい状況に置かれているRylandですが常にどこかユーモアがあって、人間味のあるキャラクターに読み進むうちに応援せざるを得なくなりました。

サイエンス系の話が得意でない人(私)たちにも割とわかりやすいように書かれていて、難しいことが書かれている割にはサクサクと読み進められました。もちろんわからないところもあったけれどそれはわからなくても全体的な話を理解するには問題ないと思います。

笑わせる部分も多々あるのですが、感動したり、ちょっと涙が出る部分もあり、一つの物語として色々な要素を含んでいるところが素晴らしいと思いました。宇宙というスケールの大きさや人類を救うために自分を犠牲にすることはできるのか?などなど考えさせられる部分もあります。

現在、国や人がいがみ合い、戦いが起きているこの地球上で、時に希望を失ってしまう時もありますが、この本を読んだ時になぜかちょっと希望が持てるというかこんな時代だからこそ作者はこのような作品を書いたのではないかという気持ちにもなりました。バックグラウントや色々なことが違っていてもわかり合おうとする気持ちがあれば私たちもわかり合うことがもしかしたらできるのではないかという淡い希望をもらうことができました。

またお話の最後は個人的にびっくりした終わり方でしたがこの終わり方がすごく好きでした。Rylandの決断は予想外のものだったけど私はこの終わり方で良かったと思います。私の大好きな伊坂幸太郎さんの小説で『オーデュボンの祈り』という作品があるのですが、この本のあとがきに確かあとがきを書いた人(名前忘れました。ごめんなさい。)が電車の中で『オーデュボンの祈り』を読んでいる子を見て、その子がその本を読み終わった時の表情が清々しくいい表情だったというような(うろ覚えですみません)ことが書かれていたのですが、『Project Hail Mary』も私にとってはまさにそのような感じで読み終わった時にふと微笑んでしまうような、清々しい気持ちになれる終わり方でした。

噂によるとRyan Gosling主演で映画化の話も進んでいるようですがこれは絶対に映像でも見てみたいと思います。細かいところが自分の想像力で補えていないところもあったので映像でみて、どんなものなのかを実際に見てみたいと強く思いました。

多くの人が 言っているようにこの作品はSFが苦手な人も若い人も年寄りもみんなが楽しめる作品だと思います。興味のある方もない方も是非読んでみてください。日本語の翻訳もすでに出ているようです。

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