洋書コーナー

“The Haunting of Hill House” by Shirley Jackson”

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⭐️⭐️⭐️(3つ星)

さて、今回は1959年にShirley Jacksonが書いた有名なホラー”The Haunting of Hill House”です。Netflixで最近シリーズ化されていましたね。映画化は1963年と1999年に2回ほどされているようです。シリーズも映画もみていないのですが、これだけ映像化され、本も昔からずっと人気があるようなので(スティーブンキングなどの有名作家もこの本を絶賛しているらしい)、読んでみることにしました。まずホラーと思って読んだのですが、ホラーとしてはそれほど怖くはなかったです。個人的にはこれはホラーとちょっとジャンルが違うような気もします。

あらすじはパラノーマルの研究をしている(?)モンターギュ博士が呪われていると言われるこの丘の上の屋敷を調べるために3人の若者と一緒にその屋敷で過ごす数日間のお話です。主人公のエレノアはずっと看病をしていた母が亡くなり、一人で自由に色々できる身となり、この屋敷に来ることを一つの冒険のように捉えています。今まで他人とあまり関わったことのなかったエレノアにとって、この家で一緒に生活することになったモンターギュ博士、テオドラ、ルークとの関係は新鮮で興味深く、引っ込み思案のエレノアもだんだんと心を開いていきます。屋敷は不気味で、気味の悪いことが次々に起こっていきますが、途中からエレノアの精神もちょっとおかしくなってきているようで読者はこれは本当に屋敷に取り憑かれているのかそれともエレノアの頭の中だけのことなのかわからなくなってきます。

星は3つ星でした。読み終わった瞬間は2つ星でしたが、そのあと色々と考えて、やっぱり3つ星にしました。最初に2つ星にした理由はまず全然怖くなかったと思ったからです。普段ホラーはあまり読まないので、かなり覚悟をして読んだのにちょっと拍子抜けしてしまい、これがホラーなの?昔に書かれたから怖くないのかな?とか考えてしまいました。しかし、のちに3つ星に変更した理由は、この本はホラーとして読まなければもっと楽しめたのではないかと思ったからです。私だったらこの本をホラーとして位置付けず、サイコロジカルスリラーというジャンルに入れると思います。そうして読み進んでいけばもっと怖いと思います。おばけなどの怖さはないものの、エレノアの心の変化がぞくっとする怖さで、さすがうまいなあと思いました。

そしてこれは間違っているかもしれないけど、所々でもしかしてこれはLGBTQ+を密かにほのめかしているの?という部分が2つほどあって、(詳しく言うと、テオドラの一緒に住んでいる人のくだりであれっ?テオドラってもしかしてLGBTQ+なの?と思ったし、ヒルハウスの姉妹のひとりが村から女性を一人連れてきてずっと一緒に住んでいたとか。)もしもこれが故意にLGBTQを言及しているのであればこの時代にすごいなと思ったのです。私の思い違いかと思って、他の人のレビューとかも読んでみましたが、やはりそう感じた人も結構いるみたいなので、私の勘違いでもないと思います。

こうしてホラーという観点ではなく違った観点からみていくとすごく時代の先を行った小説なのではないかと思うのです。もしかしたらこの本はただの呪われた屋敷の話ではなく、色々な作者の思いが込められた作品なのではないでしょうか?実際に精神的に壊れていく人間の心理はパラノーマル現象よりも怖いものかもしれません。というか精神を病んでいる人の頭の中では様々なパラノーマル現象が起こっているはずだし、それは本人にとっては現実に起こっていることであるけれど、それを誰も信じてくれないとなったりすることはその人にとって恐怖そのものだと思います。少しづつ心がおかしくなっていくエレノアの描写が素晴らしく、そういった観点からみて、やっぱりこれは2つ星ではないなと強く思い、3つ星にしました。もしかしてもう一回読み直したりしたらもっと星が増えたりして。。。(きっと読み落としてる部分もあると思うし、個人的にわからなかった部分にも色々隠されているかもしれないからです。)

最初の3分の2は割とゆっくり話が進むので、読み進めるのが困難でしたが、最後の方はどうなるのか知りたくてどんどん読み進められました。そしてこの作者の他の作品を読んだことがないので一概には言えないのですが、もしかしたらこの作者の書き方が私にはちょっと難しいのかもしれないと感じました。登場人物同士の会話もちょっと高度な感じで理解不可能なところがいくつかありました。これは私の英語力もあると思うし、私の知識不足とか頭の回転の問題とか色々あると思いますが、とにかくたまに会話が遠回しすぎてわからなかったことが多々ありました。

ちなみにNetflixのシリーズは本は全く違う内容になっているようですね。でもこのシリーズも評判がよかったみたいなのでみてみたいのですが、最近ホラー映画とかジェットコースターにめっきり弱くなっているのでちょっと見るのが怖いのです。

ということでこの作品は一見あまり怖くもないし、つまらないと思ってしまうかもしれないのですが、読み終わって色々考えてみると改めて怖いなあと思う作品だと思います。そしてなんだか隠されたテーマみたいなものがあるのかもしれないとも思ってしまいました。普段は5つ星でないと再読したいと思わないのですが、これは3つ星でも再読してみたいなと思わせる作品でした。(3つ星にも色々ありますね。)もしかしたら読むたびどんどん味の出てくるスルメのようなお話なのかもしれません。この作者の他の作品も読んでみたいなと思いました。

こちらは名作と言われるだけあって日本語訳も出ているので、日本語で読みたい方は日本語でどうぞ。私もわからなかったところがいくつかあったので日本語で読み返した方がいいのかもしれませんね。

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