洋書コーナー

“The Shadow of the Wind” by Carlos Ruiz Zafon

アマゾン購入はこちら↑

⭐️⭐️⭐️(3つ星)

今回は今年(2022年)初めて読み終わった本です。こちらのCarlos Ruiz Zafonの”The Shadow of the Wind”は以前にブックチューブで進められていたのを見ていつか読みたいなと思っていたのですが、字がしっかり詰まったページが500ページほどあり、なかなか読む勇気が出なかったのですが新年の意欲があるうちに読んだほうがイイと思い、今年はこの本から始めました。予想通り苦戦をし、2月の半ばにやっと読み終わることができました。個人的に語彙が難しかったのと固有名詞も難しかったのが苦戦の原因かと思います。

あらすじは主人公のダニエルがある日お父さんに連れられて、”忘れられた本の墓場”に行きます。そこで本を一つ選んで持って帰るのですが、その本に魅了され、その本の作者であるJulian Caraxという人物のことを調べていくことになります。謎に包まれたJulian Caraxの作品と取り巻く人々についてゆっくりと謎が解き明かされているという内容です。

星は3つでした。話もオリジナリティに溢れているし、ミステリー、歴史、恋愛、友情など様々な要素も含まれていて、とても上手く作られた話だし、表現もおもわず下線を引きたくなるような綺麗な表現もたくさんあったのですが、私は感情移入することができなかったことと、(これは自分が悪いのですが)本を手に取る間隔が開いてしまったこともあり、話が途中で頭の中でこんがらがってしまった時もありました。それは作者が意図的にJulian とDanielの恋愛状況を似ているものにしてそれを交互に説明していたからという要因もあります。

キャラクターは多数のキャラクターが出てくるのでこれもちょっと混乱してしまうときがありましたが、間隔を空けずに続けて読み進めれば問題はないと思います。不思議な雰囲気のキャラクターも多く、とても興味深いキャラクター設定だと思いました。嫌なキャラはとことん嫌な奴に書かれていて本当にそのキャラが出てくると嫌な気持ちになったほどでした。主人公のダニエルはちょっと優柔不断というか頼りないところがあって、イライラしたりもしましたが、まあそうゆう設定なのでしょう。

最初の半分はかなりゆっくりことが進んでいくのでちょっと辛かったのですが、半分を過ぎた頃から話の核心に迫っていき、先が気になるのでどんどん進めていくことができました。全体的に暗い雰囲気ですが、スペイン内戦という時代背景もあり、その雰囲気が上手く出ていたと思います。また最初の半分ぐらいに出てくる女性でクララというキャラクターがいるのですが、興味深いキャラクターだとは思いましたが、なぜ彼女とダニエルの話をあれだけたくさん書いたのかが少し疑問に残りました。ぶっちゃけクララは特に必要ないキャラクターのように思いましたがどうなのでしょう?

ちょっと調べたところこちらの本はシリーズらしいのですが(どの本もスタンドアローンとして読めるようで、シリーズというよりももしかするとこの忘れられた本の墓場に関連する話で登場人物も重なる部分があるという位置付けかもしれません。読んでないのでよくわかりません。すみません。)個人的にはこの一冊で話が完結していると思うので特にシリーズを読むつもりは今のところありません。そして残念なことに作者のCarlos Ruiz Zafónは2020年に55歳の若さで亡くなっているようです。

一つの本を巡ってこれだけの大スケールの話を作り上げるのは容易なことではないと思います。そして彼の文章は美しく、時には詩的な表現などもあり、表現力を楽しむにもいい本かと思います。一つの本から始まるお話だけに本好きでヒストリカルフィクション好きの方々にぴったりの本かもしれません。

私が本を評価するポイントのひとつに再読をするかしないかという点があるのですが、この本はその点において未だはっきりと決められない状態です。というのも話自体はまあまあで読み終えるのにかなり苦労したので再読はしたくないのですが、心に残った文章に付箋を貼ったりしなかったので、その点が悔やまれ、いつか再読したほうがいいかな?とも思ってしまうのです。読んだ本は基本、再読予定がない限り手放してしまうのですが、これは一時保留にしておきたいと思います。

こちらはなんと日本語版も出ているようなのでもし日本語の翻訳が読みたい方は日本語盤もどうぞ。原作はスペイン語だそうです。英語の翻訳はとても良かったように思いますが、語彙が難しかったのは翻訳だったからなのかそれとも原作も語彙が割と難しいのかは不明です。

アマゾン購入はこちらから↑
日本語版はこちら↑

ランキングに参加しています。よかったらクリックしてください。 ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

Translate »