洋書コーナー

“Where the Crawdads Sing” by Delia Owens

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⭐️⭐️⭐️⭐️(4つ星)

今回は2018年に出版され、かなり人気になったこちらの”Where The Crawdads Sing” by Delia Owensです。人気なのは知っていたのですが、読む前に内容はほとんど知らず、なんとなくわかっていたのはアメリカのどこかの湿地で女の子が一人で生き延びるという話だということだけでしたので、いまいち興味がわかず、暗い話なんだろうなと思い、敬遠していました。

しかしあまりにたくさんの方が推薦しているのとたまたま安くなっていたので、読んでみることにしました。

あらすじは1969年のある日、小さな町のクォーターバックとして有名だったChaseが死体で見つかります。警察が捜査を進めていくうちに子供の頃から湿地に一人で住んでいて町の人から”Marsh Girl”と呼ばれているKyaが容疑者にあがります。話は殺人の起きた時からとKyaが子供の時からどうやって一人で湿地を生きてきたのかを二つの時制で入れ替わり綴っていきます。

星は4つ星です。本当は4つ半でもいいのだけど半分星が出せないので4つか5つでしか書けないという初歩的な理由ですみません。話自体は辛いことも多く、暗い話題が多いのですが、全体的に暗くなりすぎず、素晴らしい自然の中で、Kyaが一人で生きていく姿が美しく書かれています。読者として彼女を応援して、幸せになってほしいと切に願う気持ちが自然と湧いてきたことと、どこかに常に希望が残っているところがとてもよかった。私は個人的に難しい話題を取り扱った作品でもどこか希望が持てるような作品に惹かれるように思います。

Kyaが一人でたくましく生きていく姿に誰もが応援したくなったのではないでしょうか?また自分でお金を稼ぐことを覚え、一人で特別な不自由なく生きていくことができるようになった彼女がやはり人間の温もりを求めたところにも人間味が感じられてよかったです。

そして彼女が父親から少しでも愛情を感じたときに見せる嬉しげな表情にこちらの心も温まり、この小さな幸せがどうか続いてほしいと思わされました。そして彼女がもしかしたら自分を置いて家を出て行った母親がいつか帰ってくるかもしれないという淡い希望を持つたびに心が痛みました。

読んでいくうちに何がKyaにとっての本当の幸せなのかを考えるようになり、彼女が誰かと一緒に暮らして幸せになってほしいと思う一方で、もうJumpin’とMabel以外は誰も信用せずに一人でひっそりと生きてほしいと思う自分もいました。

またこの物語は作者が動物学者というだけあって、自然の描写が素晴らしく、Kyaが自然を愛する様子は作者の自然愛そのものなのだろうなと思いました。湿地帯の自然やそこに生息する小動物の描写も細かく、知らない言葉もたくさん出てきましたが、湿地帯の美しい状況が目に浮かんでくるようでした。

私は基本、描写が多い物語は飽きてしまう傾向にあるのですが、この話は殺人事件も取り込まれていたので、ミステリー要素も組み込まれていて、それがどんどん読み進められた要因だと思います。また、作中に詩がたくさん組み込まれていましたが、これは個人的には特に必要ないと思いましたが、Kyaにとっては詩が重要な生活の一部であったと考えられるので、作者にとっては必要不可欠な部分だったのかもしれません。

ではこんなにいいことばかり書いてるのになぜ5つ星じゃないかというと、すごくいいと思ったのですごく悩んだのですが、感情を揺さぶられる部分が割と少なかった点と、再読はしないかなと思った点を踏まえて4つ星にさせていただきました。しかしこの本は読んでいるだけで自分がノースカロライナの湿地にいるような気分にさせてくれる美しく書かれた本で、ぜひ皆様にもオススメしたい本です。(虐待、差別、貧困などのテーマも入っておりますので読む際はお気をつけください)

個人的にこの本はミステリーではなく、KyaのComing of Ageそしてその後の人生の話だと思っています。初めからそのような気持ちで入ったので違和感はありませんでしたが、もしこれをミステリーとして読み始めていたらちょっと評価が違ったと思います。ミステリーとして読まないほうがいいと思います。

映像化されるという話もちらほらあるようですが、映像化されたらぜひ見てみたいと思います。Kyaはどんな人が演じるのかとても興味深いところです。ちなみに私のイメージのKyaに近いのはPretty Littel Liarに出ているShay Michellですがみなさんのイメージだとどの俳優さんでしょうか?

日本語の翻訳も出ているみたいなので英語で読みたくないという方もぜひ日本語版を手にとってみてください。(でもミステリーとして読まないでね。←しつこい)

そして最後にこの表紙がすごく素敵。色もいいし、この海へ向かってボート(カヌー?)を漕ぐKya(だと思う)がとても美しい。再読しない本は基本手放すことが多いのですが、この本は再読しなくても手元に置いておきたい美しさです。

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