洋書コーナー

“Life After Life” by Kate Atkinson

⭐️⭐️(星2つ)

今回はKate Atkinsonの”Life After Life”の感想です。この本は2013年に出版されたヒストリカルフィクションです。2013年のGoodreads Choice AwardのReaders’ Favorite HIstorical Fiction部門で優勝したらしいのでヒストリカルフィクションという少し苦手な分野ながら期待を胸に手に取りました。

あらすじは第二次世界大戦中のヨーロッパで主人公のUrsulaが何度も死んだり生き返ったりを繰り返して、同じ人生を繰り返し生きるのですが、その度に違う選択をして少しづつ結果が変わっていくという話です。その中でUrsulaはヒトラーなどにも接する機会があり、Ursulaが世界の運命を変えることができるのかというところも話のひとつの興味深いポイントになっていると思います。

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“Malibu Rising” by Taylor Jenkins Reid

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ (5つ星)

今回はTaylor Jenkins Reidの”Malibu Rising”をご紹介します。Taylor Jenkins Reidはとても人気の作家さんで有名作に”Seven Husband of Evelyn Hugo”や”Daisy Jones and the Six”などがあります。読んでみたいなと思いつつまだ読んだことがなかったのですが積ん読の中にあったこちらの本を読み始めたところ止まらなくなったので読み進めることにしました。カリフォルニア州マリブを舞台にした夏っぽい作品ですがあえて真冬に読んでみました。

あらすじは50ー80年代のカリフォルニア州マリブを舞台に有名歌手Mick Rivaと結婚したJuneとその子供たちのお話ですが主に4人の子供たちNina,Jay,HudとKitを中心にそれぞれの葛藤や兄弟愛などが過去を振り返りながら語られていきます。Ninaはサーファーで有名なモデル、Jayは有名になりつつあるプロのサーファー、HudはJayのサーフィンを撮る写真家、Kitは学生です。この兄弟は毎年夏にNinaの家でパーティーをすることが恒例になっており、このパーティーはマリブでは割と有名なパーティーでみんなが来たがるパーティーです。招待状はなく、住所を知っていれば誰でも来ていいということになっています。物語はパーティーの後にNinaの家が火事になり、マリブの海岸沿いが燃えてしまうところから始まります。読者は過去を追ってこの家族に何が起きたのかを理解しながらまたパーティーの夜Ninaの家がどうして火事になってしまったのかを考えながら読み進めていきます。

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“Beautiful World, Where are you”by Sally Rooney

⭐️⭐️(2つ星)

今回はSally Rooneyの”Beautiful World, Where are you”の感想です。Sally Rooneyは”Normal People”や”Coversation With Friends”などで人気の作家さんですが私は彼女の作品を読んだことがなく、読んでみたいなと思いながらも時が過ぎてしまいました。”Beautiful World, Where are you”は彼女の3作目の作品です。

あらすじはアリスとアイリーンという2人の大学時代からの友達の友情とアイリーンの幼馴染であるサイモンとの関係、また彼女たちの恋愛事情、生きていく上での葛藤など複雑な人間の心を描いた作品です。この作品は話の中で起こる出来事よりも登場人物の心の変化や葛藤を主に描いた作品だと思うので、あらすじを書くのが難しい作品です。話の中ではこれといって大きな展開はないのですが、4人の主要な登場人物(アリス、アイリーン、サイモン、フェリックス)の複雑な心情や葛藤がうまく書かれていたと思います。

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“The Maid” by Nita Prose

⭐️⭐️⭐️(3つ星)

今回は去年か一昨年あたりにみんなが読んでいた”The Maid” by Nita Proseの感想です。こちらの作品は2022年1月に出版されました。現時点(2024年)ではシリーズ化されてこれの他にも2冊同じキャラクターで続編が出ているようです。また、映像化の話もあったようですが、これは実現されるのかどうかはわかりません。

あらすじ。ホテルでメイドをしているMollyは最近たった一人の家族であるおばあちゃんを亡くし、寂しい日々を過ごしています。メイドであることにプライドを持つMollyはメイドとして常に完璧な仕事をすることに徹しています。がある日自分の担当する部屋で男性が死んでいるのを見つけます。この男性はこのホテルのVIPでMollyはいつもこのVIPの部屋を掃除するので、この男性の奥さんとも少し交流があります。本にははっきりと書かれていませんが、Mollyの言動から彼女は自閉症スペクトラムの症状のようなものが見受けられます。そのため言動がちょっと人と違うことがあり、それにより周りからおかしな目でみられたり、空気が読めないことが多々あります。そのためにMollyは濡れ衣を着せられ、警察から容疑者として捕まってしまいます。そこから事件の真相とMollyの濡れ衣を晴らすために様々なやりとりが繰り広げられます。

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“How to sell a Haunted House” by Grady Hendrix

⭐️⭐️⭐️(3つ星)

今回はGrady Hendrixの最新作で2023年の1月に出版された『How to sell a Haunted House』です。Grady Hendrixは『My Best Friend’s Exorcism』や『The Southern Book Club’s Guide to Slaying Vampire』など数々のベストセラーを持つホラー界では有名な割と新しい作家さんです。評判が良いのでいつか彼の作品を読んでみたいと思っていたので、最新作を読んでみました。

あらすじは主人公のLouiseの両親が事故で突然亡くなり、それに伴い両親の家を売ることになるのですが、ずっと関係を絶っていた弟Markとの対立や長い間存在する家族間のわだかまりや過去から引きずっている憎しみや嫉妬などがありなかなか話がうまく進みません。またLouiseとMarkの母親であるNanncyが生前大事にしていた数々の操り人形が家中にあり、LouiseもMarkも何か不気味な雰囲気を感じ取っていきます。その中でもひとつ母親が一番大事にしていた人形であるPupkinにまつわる色々な過去が判明していき、隠された家族の秘密が少しづつ明らかになっていきます。

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”The Cruel Prince” by Holly Black

⭐️⭐️⭐️⭐️(4つ星)

今回は私には珍しくファンタジーものでHolly Blackの”The Cruel Prince”を読んでみました。こちらは2018年に出版され、その後続きがあと2冊出ているので全部で3作のトリロジーとなっているようですが、個人的には一冊でもゆるく完結されているように思いました。一冊でもう終わりにしたい人はここで終わりにもできるし、続きが読みたい場合はこれからまた無限に話を広げることができるのでうまい具合に終わっていると思いました。

この作品は結構有名な作品でたくさんのブックチューバーさんが昔読んでいた記憶があります。意見は別れるようですが、私的にはなかなか良かったのではないかと思いました。

あらすじは主人公のJudeが7歳の時、突然両親がFaeに殺され、Judeは二人の姉妹と一緒にFaerieの王国へ連れて行かれます。人間が蔑まされるFaerieの王国でJudeは他のFae達と衝突しながらも騎士になることを夢見て日々過ごします。そして、JudeがFaerieの国の政治的紛争の中で自分の立ち位置を確立していこうとする過程を物語ったお話です。

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“Things Fall Apart” by Chinua Achebe

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️(5つ星)

今回はアフリカ文学の名作としていろんな国の学校などでも読まれているというChinua Achebeの”Things Fall Apart”のご紹介です。この作品はChinuaAchibeのデビュー作だそうで、1958年に出版されました。実は20年以上前から一度は読みたいと思いながら本棚に眠らせており、その間に一度読まずに手放したりもしているのですが、去年の古本市で偶然見つけて、そろそろちゃんと読んだ方がいいかなと思って購入しました。200ページほどの短い本なので読み始めたらすぐ読めるかななんて軽く考えていたのですが、最初の半分ぐらい(Part One)がなかなか進まず、アフリカの名前になかなか慣れることができず、登場人物がごちゃごちゃになってしまったり、文化や習慣に関する言葉が理解できず、とても難しく感じました。本を読み終わる頃に最後のページが用語集になっているのを発見し、これに早く気がついていればもっと理解が深まっただろうにと後悔しましたが時すでに遅し。しかし、前半苦戦しながらも半分を過ぎて白人の宣教師が出てきたあたりからどんどん読み進めることができました。

あらすじはナイジェリアのIbo村に住む”強い男”Okonkwoを中心に繰り広げられるIbo村での伝統や習慣を通して語られるOkonkwoの一生のお話です。Okonkwoと父親の間の過去の葛藤やそれゆえ生まれるOkonkwoとその息子の間の葛藤。そしてある事件によって課せられたOkonkwoの人生の転機を得て、アフリカの村々にやってくるキリスト教の宣教師たちとキリスト教に改宗した村人たちそして昔の神々を信じて伝統を守りたい村人たちとの間に起こる摩擦などか書かれています。

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“Lessons in Chemistry” by Bonnie Garmus

⭐️⭐️⭐️⭐️(4つ星)

今回はBonne GarmusさんのLessons in Chemistryの感想です。こちらの作品はブックチューブでもたまに話題に上がっていて、少し興味はあったのですが特に買う予定もなかったところ、たまたまクリスマスプレゼントにもらったので読んでみることにしました。勝手に恋愛ものだと思っていたのですが、まあ恋愛も少し入っていますが内容は恋愛だけに止まらず、様々な社会的テーマが組み込まれていて色々と考えさせられる思ったよりも重たい作品でした。

あらすじは1960年代のアメリカを舞台に化学者であるエリザベスが女性差別と戦いながら努力を続け、自分を失うことなく正直に前を向いて生きていく様が笑いを交えながら描かれたものです。エリザベスは化学者でありながらひょんな事からテレビの料理番組を持つことになります。彼女は料理を科学的に捉え、それをテレビで視聴者に説明し、教えていきます。料理を教える中で、エリザベスの生き様や言動、行動はテレビをみているたくさんの女性を励まし、彼女たちの諦めていた夢を助長することになります。しかし、世の中にはそれをいいことだと思う人だけではなく、悪く思う人ももちろんおり、様々な物議をかもしだすことになります。

私の評価は星は4つです。たくさんの重たいテーマを扱っていながら興味深く、所々笑いも交えて読めたこととエリザベスは自分と全く違った性格でありながら彼女に共感し、最初から最後まで彼女を応援し続けたのは作者の技術があってからこそだと思います。この本がなぜこれだけ人気なのかと考えたところ、多分このお話の中に登場したり、言及されている女性たちが世の中の様々な立場の女性全ての気持ちをうまく代弁しているからではないかと思いました。

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“Verity” by Colleen Hoover

⭐️⭐️⭐️⭐️(4つ星)

今日は最近すごく話題で超人気作家Colleen HooverさんのVerityです。Colleen Hooverさんは以前、一作品( 『Regretting You』その時の感想はこちらから) 読んだことがあり、ブックチューブでもよく読まれている作家さんだったので知ってはいましたが最近(というかここ一年ぐらい)すごく話題になっていて、TikTokでもみんながオススメしている作家さんのようですし、本屋さんでもColleen Hooverコーナー見たいのを見かけたりしました。私の印象では若い人に人気があり、前に読んだ作品がなぜか図書館のYAコーナーにあったのでYA寄りの作家さんなのだと勝手に思い込んでいたのですがこの作品は特にかもしれませんが大人向けな内容でした。

Colleen Hooverさんは複雑な恋愛小説で有名ですが、この作品はホラー色も入っていると聞いていたので以前からとても興味がありました。最近は歳のせいか怖いのが苦手になってきているのですがこの作品はロマンスあり、ホラーあり、ミステリーありみたいな感じで紹介されていたのでこれなら行けるかもと思い読んでみました。

あらすじは売れない作家のLowenにある日突然素晴らしい仕事のオファーがきます。それは事故にあって小説を書くことができなくなった人気作家Verity Crawfordの人気シリーズの続きをCo-Writerとして完結させるというものです。最初はためらうLowenですが、人前に出ないことを条件にこの素晴らしい報酬の仕事を引き受けることにします。小説のリサーチのためにその人気作家の家に数日泊まって彼女の書斎で資料を探すことになります。Verityには旦那さんのJeremyと5歳の子供Crewがいます。その書斎でLowenはVerityが書いたと思われる誰も読むべきではない自伝を見つけて読み始めます。その恐ろしい内容に戸惑い、悩むLowen。この事実をどうすればいいのか悩みながらJeremyに惹かれていくLowenの物語です。

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“11/22/63” by Stephen King

⭐️⭐️⭐️⭐️(4つ星)

読むのにかなり時間がかかってしまいましたが、ついにこの長作を読み終えました。スティーブンキング先生の『11.22.63』です。作者は言わずと知れたホラーの王様スティーブンキングです。彼の作品は有名なものがたくさんあり、映画化されているものもたくさんあるのですが、よく考えてみたら映画はたくさんみているのですが実際に彼の作品を読んだことはあまりなかったように思います。彼はホラーで有名ですがこの作品は珍しくホラーではない作品です。ジャンルは一つに絞るのは難しいタイプの物語でSciFiでもあり、ヒストリカルフィクションでもあり、ラブストーリーでもあるようなタイプの物語でした。

この作品は2011年に出版されたのですでに結構な時間が経っている作品なのですが、ツイッターなどで読んでいる方を複数見かけ、評判も良さそうだったので読んでみることにしました。何と言っても740ページの大作で読み終わるまでにかなりの時間がかかってしまいました。しかし読み終わった後の読了感は満足のできるものでした。

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