洋書コーナー

“Final Girls” by Riley Sager

⭐️⭐️⭐️⭐️(四つ星)

今回はRiley Sagerのミステリースリラー”Final Girls”の感想です。。Riley Sagerはブックチューバーの間でもかなり有名な作家さんで多くの人が”Lock Every Door“や”Home Before Dark“を読んで高評価を上げていたので存在は知っていたし、いつか読んでみたいなとは思っていたけれど今まで機会がなく今回は初めてのRiley Sagerとなりました。ちょっと調べてみたところこちらの”FInal Girls”は2017年に出版された作品でRiley Sagerの最初の作品のようです。初めての作品にしては読者をぐいぐい引き込む力があってすごいなと思いました。

あらすじは10年前に山の奥にあるコテージに泊まってパーティーをしていた6人の男女のうち5人が殺されるという事件でひとりだけ生き残ったQuincy Carpenterという女性を主人公に彼女の葛藤、失われた記憶、取り巻く人々、メディアについて過去の記憶と現在の状況を交互チャプターで展開する話となっています。Quincy Carpenterはこの事件の唯一のサバイバーであり、現在はボーイフレンドとマンハッタンのアパートに住み、お菓子のブログを書いて日々を過ごしています。このような事件は過去に他にも二つあり、その事件の中で生き残ったそれぞれの女性、LisaとSamanthaとQuincyはメディアからFinal Girlsと呼ばれ、世間の注目を浴びます。Quincyは過去の事件から距離を置き、現在は幸せに暮らしていますがある日FinalGirlsの一人Lisaが自宅で亡くなっていたということを知りショックを受けます。そしてQuincyのもとにもう一人のFinal GirlであるSamanthaが現れ、Quincyの日常はどんどんと変化していきます。

星は4つです。すごく引き込まれて最初からぐんぐんと読むことができましたのでこの作家さんは読者を引き込む力があると思います。そしてプロットツイストがたくさん隠されていて、最後まで何がどうなっているのか誰を信用していいのかいまいちわからないままうまく話が展開されていたと思います。そして最後のクライマックスに向けてチャプターがどんどん短くなっていったのも緊迫感が増してすごく上手だなと思いました。各チャプターが短くなって場面がどんどん入れ替わることで展開が急速に進んでいるような錯覚に陥ってドキドキしました。またRiley Sagerの作中のいろいろな比喩の中でいいなと思わせるものがたくさんあったのも印象的でした。(私は普段、この比喩いいなと思うことは少ないので。)

最後の展開は個人的にはちょっと無理があるかな?とも思いましたが、でもその思いを補うぐらいの説得力でうまくまとめられていたと思います。またFinalGirlsという大量虐殺の唯一のサバイバーに焦点を当てたところがなかなか珍しい切り口だなと思いました。確かにこのような事件のサバイバー達はその逆境を生き延びたにも関わらずその後の人生はきっと私たちの想像を絶するような厳しいものだと思います。

キャラクターは好きになれるキャラクターが一人も出てきませんでしたが、まあスリラーなのでそこは特に気になりませんでした。またキャラクターがなんでそんなことするの?ということをやるのもまあスリラーやホラー作品では多々あることなのでそこも話を盛り上げるためにはしょうがないのかなと思いました。

お話は大量殺人の話なのでそのような話が苦手な方は読まないほうがいいと思いますが、ホラーやサスペンスでも大丈夫な方にはテンポが良く、ツイストも各所に組み込まれており、最後まで楽しめたのでお勧めできる本だと思いました。

ちなみに日本語訳版を調べてみたところ”Lock Every Door”と”Survive the night”の日本語版は出ているようですが”Final Girls”は現時点(2024年1月)ではまだ出ていないようでした。

また、Riley Sagerというのはペンネームだそうで、本名はToodRitterという方だそうです。嘘か本当かわかりませんが、本名で書いた本が全然売れないのでペンネームを使って書いたら売れたという話です。

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