洋書コーナー

”A Monster Calls” A novel by Patrick Ness, From an original idea by Siobhan Dowd

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⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 5/5

泣きました。数カ所で嗚咽が出るほど泣いてしまいました。この本は前もってあまり内容を知らなかったのですが、ブックチューブで誰かが推薦しているのをみて、Awesomebooks.comで安く売っていたので買ってみたのですが、なんかすごく心に沁みました。普段、病気の話は結構避けてしまうのですが、これは内容を知らなかったので買った結果、読んで本当によかったと思える本に出会えました。

あらすじです。13歳の少年コーナーは母親が病気になってから毎晩悪夢を見るようになります。そしてある夜を境に、彼のところに毎晩モンスターが現れて、コーナーの本当の気持ちを聞き出そうとします。あらすじを書くのがとても難しい本ですが、この短い本の中には思春期の複雑な心、母の病気に対する怒りと悲しみ、学校でのいじめ、父親や祖母との関係、どこにぶつけていいのかわからない不満や怒りなど様々なテーマが散りばめられつつ書かれています。

とにかく私は主人公とその母親に感情移入しすぎて所々で大泣きをし、休憩をとって、また次の日に読み始めるという有様でした。これはきっと私が母親を同じ病気で亡くしている事と、自分に子供がいることにより、子供を置いてどんどん病気になっていく母親の気持ちを想像するだけで心がとても痛んだからだと思われますが、作者のシンプルかつ心に響く文体と描写の影響も多々あると思われます。

コーナーは13歳で私はすでに13歳はとっくの昔だし、しかも私は反抗期らしい反抗期もなく、思春期を過ごしたので、なぜこれほど彼の気持ちに共感ができたのかはよくわからないのですが、コーナーの気持ちが痛いほどわかるのです。13歳といえば思春期で、仮に幸せな生活を送っていても複雑な気持ちを抱える時期だと思うのですが、彼は母の病気、学校でのいじめ、父の不在などなどたくさんの大きな問題を小さな心の中に抱え込んでいます。その怒りというかやりきれない思いが伝わってくるのです。人を傷つけたい訳ではないのに傷つけるようなことをやってしまう自分、そしてその自分を罰して欲しいと思う心。この年代の矛盾した感情が本当に上手に表現されていたと思います。

とにかくこの本はかなり感情移入してしまった本でした。私自身が過去に経験した心の葛藤は、心の奥底ではわかっているけど認めなくない。認めたら本当になってしまうような気がして認められない。そしてわかっているけど諦めたくない気持ち。心のどこかでまだ希望をもっている自分を哀れみている自分と応援している自分が存在するようなそんな気持ちになったことがあったのですが、コーナーの心情とその時の私の心情が重なって見えてしまい、心の奥深くに響いた作品でした。

この本はぜひオススメしたい本ですが、私の経験と重なるところがあったからこそこれだけ心に響いたのかそれとも似たような経験がなくても心に響く作品なのかとても興味深いところです。

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ちなみに本を読み終わって気が付いたのですが、挿絵はイラスト版のハリポッターの挿絵を描いたJim Kayという人でした。私は別にハリーポッターファンではないのですが、このイラスト入りの本はイラストが気に入って買ってしまったほどだったので、なんだかとっても嬉しくなりました。“A Monster Calls”の挿絵もとっても素敵で、この人のファンになりそうです。ちなみにこのイラスト版のハリーポッター。かなりオススメですので、まだの人はぜひみてみて下さい。

“A Monster Calls”はカテゴリー的にはグレード7−9年生となっていましたが、大人が読んでも全然問題なく共感できる本だと思います。重たいテーマなので、読むタイミングを考えたほうがいいかもしれませんが、ぜひ一度読んでみて下さい。

日本語版も出ているので、日本語で読みたい方もぜひどうぞ。日本語のタイトルは『怪物はささやく』となっております。

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