洋書コーナー

“Malibu Rising” by Taylor Jenkins Reid

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ (5つ星)

今回はTaylor Jenkins Reidの”Malibu Rising”をご紹介します。Taylor Jenkins Reidはとても人気の作家さんで有名作に”Seven Husband of Evelyn Hugo”や”Daisy Jones and the Six”などがあります。読んでみたいなと思いつつまだ読んだことがなかったのですが積ん読の中にあったこちらの本を読み始めたところ止まらなくなったので読み進めることにしました。カリフォルニア州マリブを舞台にした夏っぽい作品ですがあえて真冬に読んでみました。

あらすじは50ー80年代のカリフォルニア州マリブを舞台に有名歌手Mick Rivaと結婚したJuneとその子供たちのお話ですが主に4人の子供たちNina,Jay,HudとKitを中心にそれぞれの葛藤や兄弟愛などが過去を振り返りながら語られていきます。Ninaはサーファーで有名なモデル、Jayは有名になりつつあるプロのサーファー、HudはJayのサーフィンを撮る写真家、Kitは学生です。この兄弟は毎年夏にNinaの家でパーティーをすることが恒例になっており、このパーティーはマリブでは割と有名なパーティーでみんなが来たがるパーティーです。招待状はなく、住所を知っていれば誰でも来ていいということになっています。物語はパーティーの後にNinaの家が火事になり、マリブの海岸沿いが燃えてしまうところから始まります。読者は過去を追ってこの家族に何が起きたのかを理解しながらまたパーティーの夜Ninaの家がどうして火事になってしまったのかを考えながら読み進めていきます。

星は5つです。最初は4つにしたのですが、よくよく考えたら5つ星に値するくらい私の中のいろんな条件が揃っているなと思い、5つ星に変更しました。あまり期待せずに読み始めたのですが、やはり人気の作家だけあって話を進めるのが上手です。ひとりひとりのドラマが入り混じりながら家族の日常と過去が書かれていて読みながらどうなっていくのだろうと自然に読むページが進みます。またカリフォルニアのあの感じがうまく表現されていて、あたかも読者がカリフォルニアにいて、海岸沿いでそよかぜに吹かれているような感覚になることができます。もしかしたらこれは私がカリフォルニアに住んでいたことがあるからかもしれないのですが、状況や景色を細かく私の頭の中に想像させることのできる作者の表現力が素晴らしいなと思いました。

キャクターも複雑で興味深くまた好感の持てるキャラクターと持てないキャラクターがどちらも存在し、好感が持てないとしてもどこか人間味のある人物が描かれており、どうしようもないけどこうゆう人いるよねという感じの真実味がありました。またこの兄妹が育ってきた生い立ちを読んで、兄妹間の葛藤や愛情がよく理解でき、4人を応援したく鳴るような気持ちになりました。

読み終わった後にスッキリしたような気持ちになる本で、最後にどうやって家が火事になったのかが明かされるのですが、読み終わってからまた最初のプロローグみたいな2−3ページを読むと、そこの最後の文章に納得し、うまい!と言いたくなりました。最初のページから読者を引き込んで離さない作者の文章力は素晴らしいと思います。個人的に合う作家と合わない作家というのは存在すると思いますが、Taylor Jenkins Reidはきっと私に合う作家さんなのではないかと思いました。彼女の他の作品もぜひ読んでみたいです。ちなみにこのMalibu Risingに出てくるキャラクターの1人Carrie Sotoが主人公の作品もあるようなので(”Carrie Soto is Back”)その作品の中でMalibu Risingに出てきたキャラクターがどのように書かれているかも気になるところです。

フィクションのキャラクターだけどこの4人兄弟にはこれからも強くそして愛情深く一緒に人生を歩んで行って欲しいなと願っている自分に気づき、フィクションキャラクターにこれだけの感情移入させることのできる本は私にとって特別な本だなと思います。読み終わってからもたまにこの4人兄妹のことを考えるし、彼女たちが住んでいるマリブの情景が頭にたまに浮かび、カリフォルニアの風を感じることのできるこの本は個人的にオススメできる本です。

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