“Life After Life” by Kate Atkinson

⭐️⭐️(星2つ)
今回はKate Atkinsonの”Life After Life”の感想です。この本は2013年に出版されたヒストリカルフィクションです。2013年のGoodreads Choice AwardのReaders’ Favorite HIstorical Fiction部門で優勝したらしいのでヒストリカルフィクションという少し苦手な分野ながら期待を胸に手に取りました。
あらすじは第二次世界大戦中のヨーロッパで主人公のUrsulaが何度も死んだり生き返ったりを繰り返して、同じ人生を繰り返し生きるのですが、その度に違う選択をして少しづつ結果が変わっていくという話です。その中でUrsulaはヒトラーなどにも接する機会があり、Ursulaが世界の運命を変えることができるのかというところも話のひとつの興味深いポイントになっていると思います。
期待を胸に読み始めたのですが、結論から言うと2つ星でした。星が2つの要因としてはまず、Ursulaが死んだりまた生まれたりを繰り返すのですが、その過程がかなり曖昧に書かれており、読み始めは何がなんだかさっぱりわからない中読み進めていきます。ここでまず私の関心をなくしたと思います。何が起こっているかよくわからないままかなり読み進めないといけないのでその時点で既に興味が薄れていきました。私は一応主人公が何度も生き返る話だということを知っていたので『あーこれはきっと死んだんだろうな、』とすぐに想像できましたが話の内容を全く知らずに読み始めた人にはきっとかなりの混乱が起こることが予想されます。
そして、第二の要因は登場人物が多すぎると思いました。あまり重要でないような登場人物の名前もたくさん出てくるので覚えられずこれは誰?という場面が多々ありました。(まあこれは私が名前を覚えるのがあまり得意ではないからかもしれませんが。。。)きっと話にもっと没頭できていれば登場人物も覚えやすかったのかもしれませんが、最初の頃はかなり時間をあけて読み進めていたので読むたびに重要でないような登場人物は忘れていました。
第三の要因は生き返りと記憶に関する設定がかなり曖昧というかUrsulaの前の人生の記憶がデジャブのように覚えているだけのようなので彼女自身もれっきとした確信から起こることを変えていく訳ではなく嫌な予感みたいな感情から違った行動を起こすような感じで書かれているところもあれば、ヒトラーのくだりのように確信を持っていないとできないような行動を起こしたりと読者としてはもうちょっとはっきりとしたルールみたいなものが欲しいと思いました。
第四の要因は共感できる登場人物がいなかったところにもあったとおもいます。たくさん登場人物が出てくるわりに好感や共感の持てる人がいなかったことが少し残念でした。
悪いことばかり書いてしまいましたが、これはもしかしたら私の読解力と理解力と記憶力の問題かもしれません。というのもこの本はGoodreadsの読者賞みたいのももらっているし、評価もかなり高いのでわかる人にはわかる作品なのかもしれません。私の意見は少数派だと思いますので私の意見に影響されることなくぜひ手にとってください。皆様の意見もぜひ聞いてみたいです。
また、読み終わった後にこの本の感想を話しているユーチューブを見たのですが、その人がUrsulaのママであるSylviaももしかしたら同じAbilityをもっているのではないかと話しており、おー!それはすごく興味深いテオリーだなと思いました。確かに一場面なんだか説明のできないなんで?という場面があったのですがそれはもしかしたら?と思うと途端に話がもっと興味深くなりました。これはもう少しリサーチをする価値があると思いました。また、同じ人がUrsulaはUnreliable Narratorだとも言っており、確かに彼女は精神科医などにも通っていて側から見ると信用できない話し手だと思われると思います。私は初めから死んだり生き返ったりする話だと聞いて読んでいたのでUrsulaの話を100%信用してしまいましたが、もしこれが全てUrsulaの頭の中で起こっている出来事だったらと考えるとすこしひやっとしました。どちらにしろこの2点についてはもう少しネットサーチとしてみようと思いました。
また、文章自体はとても綺麗な文章で描写なども上手なので色々な風景が(良くも悪くも)目に浮かびました。戦争中の話なのでそのひどい状況なども細かく描写されており、戦争の悲惨さを垣間見ると共に私は今かなり平和で幸せな状況に置かれているのだなーという感情も湧いてきました。戦争の中にいた(いる)人たちは私たちの想像を超える凄まじい景色を見、そして経験した(している)のだろうと思うと心が痛みました。
この本を機に第二次世界大戦中のヨーロッパの状況にも少し興味が湧きました。戦争はどこの国に自分がいるかによって見方が全く変わるものですがどの国の人たちも自分の正義を守るために戦っていて、その中でたくさんの人が死んでいくという状況に説明できない悲しさと虚しさを感じました。
星2つになってしまったけど真ん中あたりからは話にのめり込んでいくこともできたし、読んだ後に色々と考えさせられる部分もあったし、話の設定(何度も死んで生き返る)も嫌いじゃないのでいい本ではあると思うのですが、とにかく最初の部分が入りにくかったのとUrsulaの記憶に関するルールをもっと明確にしてもらえるともっと評価が高くなったと思います。
ちなみにこの本を読んでいるときに同じように死んだり生き返ったりを繰り返すトムクルーズの映画(Edge of Tomorro)を見たのですが、これがなかなか面白かったので見てなかったらぜひオススメです。
ちなみに先ほど判明したのですがこのEdge Of Tommorowの原作は日本の小説だったそうで、なんだか嬉しくなりました。
ということでLife after Lifeは個人的にかなり苦戦した作品でしたが今になって考えてみると割といい本なのかもしれないと思えてきました。星2つはちょっと厳しすぎるかな?みなさんもぜひ読んでみて感想を教えてください。

