洋書コーナー

“One of Us is Lying” by Karen M. Mcmanus

⭐️⭐️⭐️⭐️(4つ星)

今日はKaren M. Mcmanusの”One of us is Lying”をご紹介します。こちらは2017年に出版されたYAミステリーで、現在はシリーズ2と3も出ており、テレビ化もされているようです。シリーズが出ているようですがこれはこれで完結されているのでスタンドアローンとして読めます。YAなのでちょっとどうかなと思った(失礼ですね。すみません。)のですが、読み始めると先が気になりなかなかやめられなくなるほど中毒性のある本でした。最初から様々なことが起き、読者をうまく引き込んでいくところに著者の力量を感じました。

あらすじは5人の高校生の主人公たちがある日先生に携帯を取り上げられ(全員が自分の携帯ではないから仕組まれたものだと主張している)居残りを命じられ、居残りのクラスに行きます。そこには勉強のできるBronwyn、野球の才能があり学校で人気者のCooper, いつもトラブルを起こしているNate, Homecoming Princessで人気グループに属するAddy,そして生徒たちの噂話を暴露するアプリを運営するSimonの五人が集まります。なんの接点もない五人ですが、居残りクラスが始まってまもなくSimonがアレルギーの発作で死亡し、その場に居合わせた4人が容疑者となり追い詰められていきます。最初は全く動機のない4人と思われていましたが少しづつそれぞれがSimonに弱みを握られていることがわかってきて。。。

星は4つでした。話の内容で色々な問題点もあるし、現代の若者が抱えるDepression やSexualityの問題も書かれているので容易にお勧めできる本ではありませんが、個人的には話にどんどん引き込んでいく進め方がすごく上手で犯人が知りたくて本を置けなくなったというこの読書経験が高得点の理由です。舞台が高校であることと、学校のみんなが読んでいるゴシップのアプリという部分で”Gossip Girl” 思い出させる設定でした。

主人公格のキャラクターはどれも好感の持てるキャラクターでした。物語は4人の主人公が交互に彼らの目線で話を進めていくという形態で、一人一人のパートが短かったのも読みやすい理由の一つだったと思います。

実は私は途中で犯人を予想してしまったので、結末はちょっと『あー、やっぱりね。』という感じで驚きがなかったのがとても残念でした。また話中のロマンスは可愛くて好きでした。しかし最後の方で突然起こるNateの葛藤部分はちょっと不自然というか特に必要なかったのではないかと思ってしまいました。

私はもう大人でこの本を読んでも特にトリガーになったり、嫌な気持ちになることはなかったのですがこれはYAとしてカテゴリーされているものの、主人公と同じ世代の若い人たちは読まない方がいいんじゃないかなともおもいました。なぜかというと主人公たちが抱えている悩みが今、その渦中の年齢にいる若者たちにはちょっと重すぎるテーマなのではないかと思うからです。現代の若者たちはSNSの普及などによって私が学生の時よりも生きにくい状況の中に生きていると思います。そのような現実を生きている若者がこの話を読んで自分の悩みを思い出してしまったり、怖く感じてしまったりすることがあるのではないでしょうか。思春期をとっくに過ぎた私にはエンターテイメントとして楽しむことができましたが、思春期真っ最中の若者にはちょっときつい内容かもしれないので読まない方がいいような気がします。でも悪いところばかりではなく友情や恋愛も組み込まれていてそこは応援したくなるような気持ちも湧いてきて良かったです。

とにかく久しぶりに本の内容に没頭することができ、どんどんと読み進め数日で読み切ってしまったのが嬉しかったです。最近なかなか本の内容に集中することができず、一冊読むのに数ヶ月かかってしまっていたので、新鮮な気持ちで読むことができました。これを機に今年はどんどん読み進めていけたらいいなーなんて思います。この本には続き(?)が2冊出ているようなので機会があればそちらも読んでみたいです。テレビシリーズも見てみたいと思います。

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