洋書コーナー

“Radio Silence” by Alice Oseman

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⭐️⭐️⭐️⭐️ (4つ星)

今回はブックチューブで人気のあったYA、”Radio Silence” by Alice Osemanを読んでみました。この本はすごく高評価だったので、読む前から結構期待感がありましたが、私は何しろティーンという年代からすでにかなり離れてしまったので、キャラクターに共感できるかという点がすこし不安でした。

フランシスはいい大学に入っていい仕事につくために学校でいい成績をとり、優等生を演じています。今まで特になんの疑問もなく、その目標に向けて頑張ってきた彼女ですが、学校の友達とに距離感を覚え、彼女たちと共感できない自分に気づいていきます。ある日フランシスが大好きなユーチューブのポッドキャスト『Univers City』という番組をきっかけに向かいに住むAledと仲良くなります。初めて自分を理解してくれる人に出会えたフランシスはAledと急激に仲良くなっていきますが、二人にはそれぞれ悩みや秘密、ストレスがあり、個々に悩み、成長していく様子がフランシスの視点から描かれています。

星は4つです。ティーンが直面する様々な問題(成績、進学、将来の目的、アイデンティティ、友情、LGBTQIA+、メンタルヘルス、ソーシャルメデイア、精神的虐待など)が組み込まれており、このような問題で現在悩んでいるティーンがこれを読んで、少し救われる気持ちになればいいなと思いました。もしも現在、自分のことを私って何かおかしいんじゃないかと思っている人がこの本を読むことによって、『あっ、私、別におかしいわけじゃないんだ。そのままの自分でもいいのかも』って思えるかもしれないという期待を持たずにはいられませんでした。

私個人的にはティーン時代があまりにも遠すぎてあまり共感することはできなかったのですが、登場人物たちの友情に心温まったし、読み終わった後に何か希望の持てる感のあるいい本だったと思います。お話は少しゆっくり進みますが、チャプターが短い(1チャプター2ページとかもある)のでさくさくっと読めるし、会話文も多いので簡単に読み進むことができます。そして若い子たちの会話文も違和感なく若い子が話すような口調で書かれていたと思います。(って私が考える若い子の口調ということですが)

そして読み終わった後に作者について調べてみたところ、なんとAlice Osemanさんは17歳のときに最初の小説”Solitaire”の契約を勝ちとり、数年後の2014年にその本が出版されたと書かれていました。この本は2016年出版なのでこれを書いた時も割と若かったのですね。比較的若い作者なのでYAものもよりリアルに近いものになるのかもしれません。

このような様々な難しい問題をティーンの目線から書いた本が存在するということはとても素晴らしいことだと思います。最近は子供向けの本でも今まであまり公に話されてこなかった話題をテーマに書かれた本が出てきているように思います。この傾向はとてもいいことです。多くの子供たちが自分一人じゃないと思えることで少しでも心の葛藤が減ることにつながればそれはとっても意味のあることだと思います。

私はもうこの歳になるとあまり周りとの違いで悩んだりすることはなくなりました。周りに素敵な人がいたら『ああなりたいなぁ。』とは思うことがあるけどそれで自分を否定したり、落ち込んだりすることはもうないです。若い時は自分らしさというものが恥ずかしかったり、みんなと同じでいたいという気持ちが強いかと思いますが、今は自分の個性は個性としてそのままでいいなと思えるようになりました。歳をとるのは悪いことばかりではないと思います。いろんな経験、知識、自信そして諦め(笑)も増え、そのままの自分を受け入れることができるようになると思うのです。

自分らしく生きるということは簡単なことではないけどやはり一度きりの自分の人生ですから最後に自分が心からよかったと思える人生にしたいものですね。

ちなみに日本語版はまだ出ていないようです。(2021年1月現在。)

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