洋書コーナー

“Razerblade Tears” by S.A. Cosby

⭐️⭐️⭐️(3つ星)

今回はS.A. Cosbyの『Razerblade Tears』の感想です。こちらは2021年に出版された本のようなので割と新しい作品です。私の好きなブックチューバーさんが推していたので読んでみました。後から見るとアマゾンもGoodReadsも評価は4以上で好評なようです。

あらすじはそれぞれの息子を殺された父親、IkeとBuddy-Leeが殺人の真相を突き止め復讐を試みる物語なのですが、この息子たちはゲイのカップルであり、生前にその事実を受け入れることのできなかった二人の父親が後悔と悲しみに明け暮れながらも復讐を目的に少しづつLGTBのことを理解していく様子や自分の無知さに気づき、お互いをわかり合っていくという内容です。そしてIkeとBuddy-Leeは黒人と白人なので人種差別についてのテーマも作中に組み込まれています。

星でいうと私の評価は3つ星になりました。人気の作品でたくさんの人が好評をしている中で私の意見は少数派なのかもしれないのですが、個人的にアクションがたくさんの本や映画があまり好きではないところに要因があるのだと思います。話の設定はとても興味深いと思うし、LGBTや人種についてのテーマもうまく組み込まれていて、色々考えさせられるという点で話の前提はとても興味深いと思うのですが、銃撃戦や暴力シーンも結構あり、私には向いていなかったみたいです。でもアクションものが好きな方はきっと好きだと思います。また映画にしたらいいお話なのではないかと思いました。

IkeとBuddy-Leeは過去に犯罪の経歴があり、いろいろなことを背負って生きているし、彼らの理解者も少ないのですが、話を読み進めるうちに彼らを少しづつ理解していくことができ、最後には二人を応援している自分がいました。二人とも欠陥もたくさんあるけどそれもまたキャラクターとして真実味があるし、対照的な二人がいいコンビとして書かれていたと思います。白人と黒人ということもあり最初はお互いに敬遠している部分もあるけど少しづつ打ち解けていくところが個人的にはとてもよかったです。Buddy-Leeは白人で白人中心の環境で育ってきているので自分が差別的な発言をしても気づいていないこともあり、そこに最終的には自分で気づけるようになるところもよかったです。確かに自分で差別的なことをしていると思っていないけど実際にはしてしまっているという人は世の中にたくさんいるし、まずその気づきがなければ人種差別を含む各種の差別というものは無くならないと思うからです。もしかしたら自分も気づかずに誰かを傷つけるようなことを言ってしまっているかもしれないという状況はとても怖いなと思いました。こうして本を読んだりいろいろな人の話を聞いたりして自分も知らず知らずに人を差別したり傷つけたりしていないか気をつけて気付けていけたらいいなと改めて思いました。

あと一つちょっと残念だったのは最後の犯人がわかるところがちょっと急ぎすぎというかそんなに簡単に決めつけていいの?と思ってしまいました。もしかしたら犯人バレしたくなかったからそれまでの経緯というか伏線をあえて敷かなかったのかもしれませんがあまりにもすぐに犯人につなげてしまったような気がしてちょっと拍子抜けしてしまいました。

しかしIkeとBuddy-Leeは怖いもの無しな感じでガンガンと突き進むところが気持ちよかったし、アクションがたくさんで映画をみているような感覚もありました。アクション好きにぜひおすすめしたい本だと思いました。アクション好きでなくても最後には手に汗握り二人を応援していることは間違い無いと思います。

生前にゲイである息子を受け入れることのできなかった二人の父親はその愚かさを後悔しますがなくなった息子たちはもう帰ってきません。このような状況はその渦中にいるときはわからないかもしれないけど後になると自分がこだわってしまっていたことが実はそれほど重要なことでは無いことがわかると思います。私は常に自分にとって人生で一番大切なものはないかを考えながら毎日を生きていきたいと思います。

英語に関しては知らないスラングもいくつか出てきてそれは興味深く勉強になりました。

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