The Thousandth Floor by Katharine McGee
⭐️⭐️⭐️(星3つ)
今回はKathrine McGeeのThe Thousandth Floorシリーズの一作目です。こちらの作品は巷では”近未来ゴシップガール”と呼ばれているらしいYA作品で、2016年に出版されたようですが今までブックチューブなどでも聞いた覚えがないので全く前知識なく購入した作品でした。確かに全体的にゴシップガールを連想させるものがありましたが近未来が舞台なので新テクノロジー的な要素もあり、ロマンスあり、ミステリーありと盛りだくさんの内容だったと思います。
あらすじは2118年のニューヨークを舞台にタワーという1000階の街そのもののような建物の中で繰り広げられる高校生たちの物語です。タワーそのものが一つの街なので、タワーの中には生活に必要な全てがあり、そこに住む人たちはタワーから出ることなく日常を過ごすことができます。タワーの上の方に住む人がお金持ちで下に向かうほどお金のない人たちが住んでいるという構成になっています。お話はタワーの一番上に住むお金持ちで容姿も完璧なAveryとその友達の間やそれぞれのキャラクターの人生で繰り広げられる様々なドラマが描かれています。
星は3つです。前半は読者がキャラクター一人一人に視線から物事を見ていき、そのキャラクターを知っていきます。やまた舞台設定などの説明的なものでゆっくりした展開だったので少しつまらなかったところと、最初は登場人物が多すぎてなかなか一人一人を覚えることができず苦戦したので評価が少し下がりました。しかし後半は様々なことがどんどん起こり始めて続きが気になりサクサク読めました。しいて言えば後半はちょっと急ぎすぎな印象を受けました。もうちょっと後半の展開をゆっくり進めてもよかったかなと個人的には思いました。
キャラクターは特に共感のできるキャラクターがひとりもいなかったところが評価がいまいちになった要因でもあったと思います。わざとかもしれませんが、鼻につく感じの好きになれないキャラクターが多く、まあティーンだからそうゆう行動も言動も現実的なのかなとも思いましたが、癖の強いキャラが多いと思いました。
物語自体はまず女の子がタワーの最上階から落ちるところから始まるドラマチックなプロローグとなっています。この時点で読者はその女の子が誰なのかを知らないので読み進めながら様々なキャラクターの視点を読み、最後にはその謎が解明されるというミステリー要素も含みながら途中ではロマンスあり、友達関係、親との関係、ソーシャルクラスの違い、それぞれのティーンがもつ悩みと葛藤など様々なテーマが描かれています。
エンターテイメント性はあるし、舞台設定も近未来でなかなか興味深かったので特に後半は展開が早く、楽しんで読むことができました。ゴシップガールのような雰囲気と言われることが多いようですがそこは私も同じように思いました。お金持ちのティーンが色々なドラマに巻き込まれながら私たちのような普通の人には考えられないようなゴージャスな生活をしている感じがゴシップガールに似ているのです。ゴシップガールでも最初はほとんどのキャラクターが好きになれなかったけれど最後にはどのキャラクターも割と好きになっている自分がいたのでもしかしたらこのシリーズも最後まで読み進めれば好きなキャラクターも増えてくるのかもしれないなと思いました。
しかし私はシリーズものの本があまり得意ではないのでこの先このシリーズを読み進めるかと聞かれるとよくわからないと答えるしかないのですが、まあこの先もやっぱり気になるので機会があったら読んでみたいなとは思います。この作品が映像化されたら是非見てみたいと思いましたが現在(2024)のところまだ映像化はされていないようです。作品の中に出てくる未来のテクノロジーなどは近々現実になりそうなものも多々あり、とても興味深く、現実の未来に想像が膨らみました。
とても読みやすい本なのでサクッと読みたいエンターテイメント性の強いYAの本を求めている人やゴシップガールが好きだった人にはぴったりの本だと思います。是非映像化されて欲しい作品でした。