洋書コーナー

The Last House on Needless Street”by Catriona Ward

⭐️⭐️⭐️(3つ星)

今回は2021年に出版されたCatriona WardのThe Last House on Needless Streetをご紹介します。この本はブックチューブで誰かが話していて、割と高評価だったので読んでみました。ジャンルとしてはサイコロジカルミステリースリラーという感じだと思います。Goodreadsのレビューでも星が3.83なので割と人気のある本だと思います。

あらすじは10年ぐらい(?)前に6歳の少女ルルが湖の近くで行方不明になります。その時に容疑者の1人として捜索を受けたが証拠がなく捕まることのなかったTedという人物とルルの姉でルルを守れなかったという罪悪感から今も犯人またはルルを探し続けているDeeという2人を中心に話は進んでいきます。前半の語り手はTedとDeeとTedの猫であるOliviaによって構成されています。読者はTedとTedの猫の話からTedがどのような人物でどのような生活をしているのかを少しづつ理解していき、Deeの話からLuluの話やLuluの行方を突き止めていこうという気持ちにさせられます。TedにはLaurenという娘がいるというTedの話からDeeと読者はもしかしたらTedがLuluを誘拐して、LuluはLaurenとしてまだ生きているのではないかという希望を抱き始め、真相を知るために話を読み進めていくことになります。

結果は星3つでした。読みやすいし、各チャプターも短いし、続きが気になるのでサクサクと読み進めていくことができ、あっという間に読み終わったのですが、なんというか結局真相はかなり複雑でこの本の本当の意味というか作者が本当に書きたかったのは単なるミステリースリラーではなかったのだろうなと思いました。この本はネタバレをせずに素直な感想を書くことが非常に難しいと思うのですが、個人的にはかなり最初の方から何が起こっているのかは予想できたし、最後の真相は予想とは違う部分もあったけれどもそこに行き着いた時点ではすでに私の中で事件の真相はあまり重要ではなくなっていたように感じました。だから最後には予想できなかった展開がいくつかあったのですが、感情的にはなぜか不完全燃焼のようなまた様々な登場人物の過去や置かれた状況を考えると悲しいような気持ちになりました。

でも最初から色々と君の悪い雰囲気をうまく出せているし、読者を話に引き込んでいく力はすごいなと思いました。最後はTedについてどのような感情を持てばいいのか複雑な気持ちにもなりますが、Tedのような人に関する描写がとても詳細で彼の頭のなかではこのような感じで色々なことが起こっているんだなということが丁寧に描かれていたので、難しいトピックだと思いますができるだけ読者にわかりやすいようにそのシステムが細かく説明してあったところがよかったと思いました。個人的にはこの部分が作者が重点を置きたかった部分なのかなとも思います。

読み終わっていくつか疑問に思う点もありました。その一つに最後に出てきたRangerの人は必要な登場人物だったのかな?とちょっと疑問に思いました。この人はこの話にどうしても必要な人物だったのか?なぜこの人を登場させたのか?が理解できませんでしたが、まあそれはもしかしたら読者に希望を持たせるための道具だったのかもしれません。

この本は誘拐やメンタルヘルスなど様々な問題を取り入れたお話で目を覆いたくなるような残忍なシーンもたくさん出てくるので軽い気持ちで読む本ではないと思いますが、ミステリー調で早く真相を知りたいと思わせるページターナーと言っていいと思います。しかし、読み終わった後は単なるミステリースリラーではなく人間の心理について色々と考えさせられる物語でした。Cartrina Wardさんは他にも本を出版しているようなので機会があれば他の本も読んでみたいなと思います。

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