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“Mexican Gothic” by Silvia Moreno-Garcia

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⭐️⭐️⭐️(3つ星)

今回は2020年に出版され、ブックチューブでも話題になり、2020年のGoodReads Choice Awardのホラー部門で一番に選ばれた”Mexican Gothic”by Silivia Moreno-Garciaです。ハローウィンの季節なので、ホラーが読みたくなり、読むことにしました。

まず、この本はブックチューブでかなり人気の本で私がみているブックチューバーはほぼ読んでいたように思います。Gothicに今まであまり興味がなかった(というかいまいちGothicの定義がよくわかってない)のでGothic系と呼ばれるものは進んで読んでこなかったのですが、この本は近所の図書館にたまたま新入荷されていたのと季節的にもぴったりだったので期待して借りました。

舞台は1950年のメキシコで主人公は美人でちょっと気の強くて頭の良いノエミという若い女性です。ノエミの従兄弟であるカタリナは数年前(?)にイギリス人のVirgil Doyleと結婚し、山の上にあるHigh Placeという家に住んでいますが、ある日ノエミの家族に『旦那が毒を盛っているから助けて』的な手紙を出します。カタリナの精神状態や病気を心配したノエミの父親はノエミを偵察に送り出します。High Placeに到着して生活を始めたノエミが家や家族の秘密を探りながらそれに影響されていく様子が描かれています。

星は3つ星。ジャンルがホラーでしかもGoodreadsアワードでホラー部門の賞をもらっていたのもあって、すごく怖いのを期待していたのですが、怖いというよりも気持ち悪いと言った方がいいかなと思いました。確かにこの状況に自分が置かれたらと考えるとそれはそれは怖いですし、グロい場面もあり、うえっーとなりましたが、私が期待していた怖さとはちょっと違った怖さでした。

しかしながら雰囲気はすごく出てて、スプーキーな家の感じや気味の悪いキャラクターが上手く描かれていたのは高評価です。そして舞台がメキシコというところがかなり私的には高得点だったと思います。メキシコのちょっとした歴史とか文化とかも散りばめられていてそこはとても興味をそそられました。まあメキシコじゃなくても書けた話だと思うけどメキシコだったからこそ私の興味がそそられました。それからこの表紙!この素敵な表紙に惹かれた方も少なくないのでしょうか?私もその一人です。この座り方や表情だけで主人公の性格をよく表していると思いました。

星評価が3つの理由はまず最初の2/3ぐらいの展開がゆっくりで、ちょっと飽きてきてしまったというのが一つの理由です。確かに雰囲気をだしたり、キャラクターを造成していく上である程度のページ数が必要なのはわかるのですが、もうちょっと早めの展開でもよかったかなーとも思いました。キャラクターはそれぞれいい味が出てて、気味悪くてよかったし、主人公も共感の持てるいいキャラだったように思います。

またネタバレになってしまうので詳しくは書かないですが、なぜこの家で不思議なことが起こるのかの原因とルールというか条件みたいのがちょっと複雑で理解に苦しむ場面もありました。そして読んでいるうちに主人公もそうですが夢と現実の区別がつかなくなるというかこれは夢なのか?それとも本当に起こっていることなのか常に疑いながら読み進めることになりました。これらの理由からちょっと複雑で理解が困難な部分も多々ある印象が残りました。

作者はカナダ在住のメキシコ人女性だそうで、一つのジャンルにこだわらず様々なジャンルの本を書く作家さんだと聞きました。私はメキシコ料理も好きだし、メキシコ出身の画家フリーダカーロやその旦那さんであるディエゴリヴェラの作品も好きだし、何と言ってもメキシコの伝統であるDia de los Muertos(Day of the Dead)で使われているようなカラフルなガイコツアートみたいなのがすごく好きなので、もしそれ系(何系?)の物語があったらぜひ読みたいなあと思いました。メキシコの歴史と文化や伝統を入り交えたフィクションでお勧めがありましたら教えてください。作者の他の本にはどんなものがあるのかチェックしてみます。

しかし従兄弟のカタリナはVirgilがこんな人で家族がこんな家族とは知らずに結婚してしまい、のちに恐ろしい事実を知ることになりますが、ここまで極端ではないにしても実際に結婚する前と後で別人のようになってしまうケースも多々あると思います。それって本当に怖いですよね。でもきっとそのような人はよく観察するとなにかおかしいところが垣間見えるかもしれないので結婚などをする前にちょっとでもあれっ?って思ったら少し様子を見てから決断した方がいいかもですね。ってちょっと話がずれてしまいましたが。

星は3つだけど、なかなか雰囲気も出ていて、印象に残る作品だと思いました。そして噂によるとこの本はテレビのシリーズか何かに映像化されるようです。自分の頭の中のキャラクターがどの俳優さんに演じられるのかそして頭の中のイメージがどんな映像となって現れるのか興味津々です。ちなみに私の頭の中のNoemiはSalma Hayakの若い頃です。

2021年10月時点では日本語訳はでていないようです。

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