“The Immortalists” by Chloe Benjamin
⭐️⭐️⭐️1/2 (3.5star)
今回は”The Immortalists” by Chole Benjamin です。
NYに住む4人の兄弟がある日占い師のところに行き、一人づつ自分がいつ死ぬのかを聞きます。4人はこの予言を常に心の中に秘めつつ、それぞれの人生を生きてゆきます。自分に忠実に生きようと若くしてサンフランシスコに行き、本当の自分と愛を探すサイモン、子供の頃から手品を愛し、手品師になるクララ。軍隊の医者として地道に生きるダニエル。他の人との関わりを避け、リサーチの仕事に没頭するバーヤ。運命に影響されながら様々な選択をしていく4人それぞれの人生と彼らの葛藤が書かれています。
星は三つ半です。4つでもいいかなと思ったんだけどキャクターに感情移入できなかったところが星半分減ってしまった原因でしょうか。話のコンセプトはとても面白いと思うのです。自分の死ぬ日がわかっていたら私は生き方をかえるのだろうか?という疑問が常に本を読んでいる時に頭の中にありました。そして彼らもそうですが、占い師に死ぬ日を言い当てられてもやっぱり信じたくないという気持ちもあるし。でも絶対にそんなの嘘だと思ってもやっぱり頭の片隅にはその日にちがその日を過ぎるまであると思います。
読み終わっての最初の感想は人生何が起こるかわからなし、何がよくって何が悪かったかは後になってみないとわからない。それもまた人それぞれの見方によって変わってくることだし。なんでも一概には言えないなということです。結局自分の人生がどうだったかは自分でしか判断できないし、誰が何と言っても自分がよかったと思える人生だったら他の人を故意に不幸にしない限りどんな人生でもいいんじゃないかなと思いました。というか行き着くところはやっぱりプラス思考かなと。結局マイナス思考の人は人生の最後にこれも後悔あれも後悔と後悔がたくさん残るけどプラス思考の人はあんなこともあったけどあれがあってよかったと思えるから結局最後はいい人生だったって思えるのだと思う。私は自分が割とマイナス思考な人なのでそれを気をつけて改善していこうと思っています。
話がずれてしまいましたが、お話の中の4人兄弟で一番共感が持てたのは一番若いサイモンでした。自分の死を告げられて初めてやっと自分に正直に生きることができたサイモン。最後はどうであれ自分を隠さずに自分の為に生きることができたサイモンは納得のいく人生を送れたように思います。サイモンとクララの関係もよかったです。自分の心のままに生きることをためらっているサイモンにクララはこう言います。”Give me one good reason why you shouldn’t start your life.” この一言はサイモンの決心を後押ししたものでした。あとの3人はそれほど感情移入ができませんでした。しいていてば、一番お姉さんのバーヤの色々な葛藤は上手に書かれていて、共感じゃないけど同情してしまいました。自分ではどうしようもできない潔癖症の症状や、人と関わることが困難になって家族からも距離を置くようになってしまう過程、そしてそれに対する後悔の念がうまく表現されていました。一番印象に残っていないキャラはダニエルでした。残念ながら彼がどんな人なのかが伝わってきませんでした。
自分の人生を自分に忠実に生きたいと思う気持ちとは裏腹に存在する家族へ義務や愛情またはプライド。そこにメンタルヘルス、性指向などのテーマも含まれていて内容は重い内容となっています。一部、性的描写がきわどい部分もありましたがこれはそれほど詳しく書く必要があったののだろうか?となぜ作者がこれらの性描写を含んだのか疑問に思いました。
私は家族のドラマについての話が割と好きなのでこのお話もなかなかよかったと思いましたが何かが足りないというか全体に流れる暗い雰囲気が苦手だったり、個人的には最後に希望が持てるような本が好きなので、最後がちょっといまいちでした。多分作者としては希望が持てる終わり方をしたつもりだと思うのですが、私にはその希望度が足りなかったというか。もっともっと希望の持てる終わり方をして欲しかった。ずっしりと重いまま終わってしまったという印象でした。重い内容ですが、会話も割と多いのでなぜかサクサクと読み進むことができました。またスタイルとしては4人兄弟の一人づつの話が別々に書かれていて、各キャラクターに集中して読めたので、このスタイルは私にはよかったです。
さて、この本は誰にでも勧められる本ではないと思います。家族のドラマ系物語が好きで重くても大丈夫な人にはいいかもしれませんが、多分個人的には人に勧めないと思います。ということで星は3つ半です。
私が調べた限り日本語の翻訳版はまだ出ていないようです。